かつて「犬神家の一族」の撮影に使われた本棟造りの建物で国の登録有形文化財となっています。
今回の改修前から飲食店として使われており、用途変更することなく消極的な改修工事となりました。改修前の飲食店は「蔵久」と言い、橋本夕紀夫氏が旧家の改修デザインを手掛けています。今回はその改修された状態を既存と考え、オーナーの希望により利用できるものは利用しています。
一番大切にしたのは既存建築材料に傷をつけないことと、お客様に傷をつけられない構造とすることです。
土足のまま使用したいというオーナーの強い要望に答え、食事室は畳を上げ石貼りとしました。敷居には鉄製カバーを付け乗られても傷が付かないよう工夫しています。
土間にはケヤキの立派な上り框と敷台がありこれを守るためにタモ無垢板の橋を掛けました。土台は松代の芝石です。テーブルもオリジナルのデザインで特注しました。
木製建具一枚では信州の寒さに耐えられませんので内側に真空ガラス入りの建具を追加し、床暖房方式としました。