タイトル | : | 里山辺の家 A邸 |
建物種類 | : | 住宅 |
所在地 | : | 長野県松本市 |
仕様 | : | 木造2階建て |
建築規模 | : | 168.49㎡ |
施工会社 | : | (株)滝澤工務店 |
竣工 | : | 2013年1月 |
写真提供 | 新建新聞社 林 安直 | |
当時20代の若いご夫婦が訪ねて来てこんな話をされました。私たちは初めてだが実は親が以前来て、設計の依頼をしていると。
詳しく話を聞きながら、当時仕事が目いっぱいで、ご希望の時間内では完成できないためお断りしたお客さんがいたことを思い出しました。そのご子息がまた訪ねて来て同じ土地に住宅を作りたいとの希望です。当然他の建築家に依頼されて住宅が完成しているものと思い込んでいましたのでとても驚きました。残念なことにその後お父さんがガンを患い他界されたとの事。二度目のびっくりです。これは深いご縁があったのだと感じ、二世代の思いをしっかり受け止めて設計させていただこうと決心しました。
まだ若い二人ですから、潤沢な予算を確保することは出来ません。幸いご主人は日曜大工や庭仕事が得意とのこと、自分で出来ることは自分でやるということになり、私が図面を書き、外構工事(植栽、駐車スペースの床仕上げ、物干し、薪小屋、ぶどう棚等)はご主人の施工です。
奥様の英語教室と書道教室を付属させるというご希望もあり、玄関を挟んで教室と住宅とに緩やかに分けました。暖房は薪ストーブのみ、2階までの吹き抜け、太陽光をしっかり受け止める大きな窓などパッシブソーラーの手法を駆使しています。一番難しかったのは夏の太陽光を防ぐ方法です。屋根の庇だけでは1階の窓から日光が差し込むのが計算で分かっていました。ガラリ戸代わりに板を釘打ちした安価な日よけ戸を設置したところ効果抜群です。
竣工時に全て完成ではなく、自分たちで育てていくという住宅があってもよいと思います。