タイトル | : | 北原町の家 | |
建物種類 | : | 住宅 | |
所在地 | : | 松本市北原町 | |
仕様 | : | 木造 2階建て | |
建築規模 | : | 253.97㎡ | |
施工会社 | : | 株式会社ハシバテクノス | |
竣工 | : | 2003年 | |
お子様が独立された熟年夫婦のための住宅です。
ご主人の希望は本がたっぷり収納できる書斎。奥様の希望は教室が開けるきちんとした茶室、外腰掛のある茶庭付きです。
しかし茶室を茶事のみに使うのはもったいないので普段は座敷として使いたいとのお考えでした。当初思い描いた離れの本格数奇屋の茶室という案は適切ではないと分かり、二間続きの座敷形式とし下座敷を寄り付きとして、上座敷を8畳の茶室として使えるプランとしました。この案は普通の生活空間に素直に茶室をなじませることが可能となり、今後も使えるアイデアだと思います。そのほか廊下の掃きだし窓を貴人口として路地との接点に使う方法も普通の住宅でも採用が簡単ですから、一般人にお茶を普及したいという気持ちが現れた優れた考えだと思います。本来お客には見せない水屋も廊下の正面に設置しました。これはただの座敷ではないのだよという暗示になっています。正式な茶室とは言えない部分がたくさんあるのかもしれませんが、亭主の思いが詰まった素晴らしい茶の湯の空間になったと思います。
玄関ホールをはさんで反対側の居住棟も、施主の思いが詰まっています。ちょっと重厚感をもたせ、しかし重過ぎないこと。高品質の仕上げ材とおおらかな空間構成で答えました。
施工は一見簡単に見えますが大工の技無くしては完成できなかった非常に難易度の高い住宅です。随所に匠の技が光っています。
私の無理難題を聞き入れ、狭い空間に外路地と内路地を作ってくれた庭師にも感謝です。